映画『我等の生涯の最良の年』
3時間近い長編で1946年に製作された古いアメリカの映画。
飽きずに見ることができるから、傑作なんだと思います。
監督は、ウィリアム・ワイラー。アカデミー賞受賞作品。
第2次世界大戦が終結し、アメリカに戻ってきた3人の復員兵が主人公。同じ輸送飛行機に同乗したことから知り合い、故郷に戻った3人の復員後の人生が描かれています。
明るいイケメン将校のフレッド、銀行員でお酒を手放せない軍曹のアル、戦争で両手を失った水兵のホーマー。戦争前も戦争中も違う環境にいた3人が、なかなか復員後の生活になじめない間に心通じ、支え合い、励まし合って、ときには対立しながらも新たな人生を切り開いていく様子が、ていねいに描かれています。
戦地から帰ってきて、現実とのギャップに翻弄される3人の様子は、戦勝国であっても、戦争の苦しみや痛手は小さくないことを私達に教えてくれます。
3人が悩みながらも新しい人生の扉を開けて、次のステージに飛び込んでいく姿に感動しました。3人を側で優しく見守る家族の存在が素晴らしい。
基本的にはハッピーエンドの娯楽作なのですが、広島や硫黄島のことが会話の中に出てきたり、帰還兵を侮辱する言葉を投げつける人や、管理主義的な職場の姿なども描かれていて、さりげなく社会風刺も効いていてすごいなぁと思いました。
生涯最良の年の後、3人それぞれがどんな人生を歩んでいったのか、気になります。
明るくてたくましいフレッドがきっとその後もアルとホーマー、そして家族みんなを支える存在になったように思います。どんなときも、あんまりくよくよせずに、目の前に差し出された手を掴んで立ち上がるフレッドの姿がアメリカを象徴しているように感じました。