瀬戸内寂聴と伊藤比呂美のエッセイ
同時に読んでた2冊のエッセイ。
瀬戸内寂聴『今日を楽しく生きる』と 伊藤比呂美『ショローの女』
2冊の本には、いくつかの共通点がありました。
〇飾らない短めの文章で綴られている
〇読むと元気になる
〇日常なんだけど豊か
〇いろいろあったけど、とりあえず今は一人
〇伝える仕事をしている
僧侶と大学の講師
〇文学との関わり
小説と詩
エッセイを書くということは、そのままの自分を表現しながら、自分の中の無意識に気付くこと。気付いたら、その無意識と向き合うことなのですね。
書いてある物を読んでいると簡単そうに見えるけど、いざ書こうとすると難しいのがエッセイ。いい文章を書こうとする自分の欲が、いつも私の邪魔をする。そういうところを感じさせない瀬戸内寂聴さんも伊藤比呂美さんも、やっぱりとてつもない方々です。
たくさん書いてきたから、そういうところにたどり着けたのかな。
お二人とも、自分の人生や自分が会得した文学のエッセンスを惜しみなく伝えるお仕事をしているところも凄いなと思いました。
その伝える過程が文章にしてあって、その部分がまた、めちゃめちゃ面白かった。
文学を愛して、文学に取り組んで、そこで得たものを人に惜しみなく伝えて年を重ねてゆくと、とっても素敵な大人になるんだなっていう見本のような二人。やっぱり私も奥の深いものに取り組みたいな。
寂聴先生が「小説を書きなさい」とおっしゃる。問題を抱えた人との対談でお約束のように「小説を書きなさい」とおっしゃる。あたしも言われた。あたしはそれを「詩」に置き換えたい。何かあったら、とりあえず詩を書こう、と。それがわたしの早稲田の三年間の結論なのかもしれない。 (伊藤比呂美『ショローの女』P.222)
伊藤比呂美さんは、瀬戸内寂聴さんの薫陶を受けていたのですね。
こうやってつながっていく文学の絆。素敵だなぁ。
直接お話することが難しくても、書いてあるものを読むことで、何かを受け継ぐことができる。それが本の魅力と改めて感じました。