文学にはまるということ
文学って読む人よりも書いている人のほうがはまりやすいものなんだなぁとこの本を読んで思いました。
ここに登場する有名な文学者の人達は、小さいことにこだわったり、細かいことを指摘し合ったりして、全然大人っぽくありません。作家という、ちょっと難しい人達が真剣に正解のない論争を文字上で繰り返している、それこそが文学なんだと思いました。
私も本が好き!だけど、この本に登場する人や作者の坪内祐三さんみたいにはなれそうにありません。普通の人だから。どうしたら、ここまで真剣に本や文学というものに没入できるのか? その秘訣をそっと示してくれる本かもしれません。本や文学との関わり方が人によってこんなにも違うんだ!と考えさせられます。
作家同士の論争、古本屋さんとの出会い、この本で紹介されているできごとには、人との濃厚な関わりがあります。人との関わりこそが何かに一生懸命になる道しるべ。
人とアナログ的に関わったり、不毛な論争をしたり、そんな状況は今の文学界にもあるのかな?
読み終わってみると、みんなみんな逝ってしまったことが寂しく感じられます。昔はよかったな、みたいに思えてきます。
もし、好きなことがあったら、読むだけ、聞くだけ、感じるだけではなく、ちょっとでも関わっていかないと本当の面白さは味わえないのかもしれません。
その関わり方の一つの形を示してくれたのが坪内祐三さんだったように思います。