村上春樹『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』
村上春樹の小説やエッセイをすこしずつ読んでます。
図書館には必ず置いてあるので、その時に並んでいる本を借りて読んでます。
今まで理由もなく彼の書いた本を読むのを避けてきたけど、読んでみたらやっぱり面白い。やっと私も村上春樹がわかるようになってきたのかな。ここに至るまでかなりの時間を要しました。
親元で親孝行しながら生きている
あるいは、
親元で親に守られながら生きている
人たちには味わえない感傷みたいなものが漂っています。
自立している人たちが暮らす東京ならではの物語。
東京に行きたい
大人に囲まれて暮らしたい
大人と一緒に仕事がしたい
私は、ひたすらそう思いました。
そして、私が今まで逃げて生きてきたということを目の前に突きつけられたように感じました。
主人公の多崎つくるは逃げずに生きてきた人。辛いことがあっても耐えて生きてきた人。そんな彼が三十六歳になって木元沙羅という女性と出会って過去に向き合う決心をしたことで再出発の道筋が見えてくる・・・
そんな話。
でも私は、逃げて生きてきたから再出発できない・・・
なんてことも思いました。
逃げないで人生に立ち向かうにはどうしたらいいんだろう?
人生の後半戦を迎えた私には、つくるにとっての沙羅みたいな人の登場を待つ時間はありません。
男性は女性の力を借りて大人になれるのかもしれないけど、
誰の助けも得られないと気付いた女性は、どうやって大人になったらいいんだろう?
この小説に出てくるヒントは、外国、出産、仕事。
クロは外国の人と結婚して子育て中
シロは出産には至らず亡くなってしまう
沙羅は仕事のできる女性
手がかりはこの三人の女性
小説の中にはいろいろな手がかりがあるから、それを勝手に解釈して自分でいろいろなことを考えてます。そういうことができるのが村上春樹さんの小説の魅力なんだと思います。