枝廣淳子『アニマルウェルフェアとは何か』
元農林水産大臣の贈収賄事件で有名になったアニマルウェルフェア。
どんなものか知りたくて本を読みました。
動物たちは生まれてから死ぬまで、その動物本来の行動をとることができ、幸福(well-being)な状態でなければならない(P.2)
というのが「アニマルウェルフェア(animal welfare)」の考え方。
渦中の農林水産省も、アニマルウェルフェアの考え方を踏まえた家畜の飼養管理の普及に努めていますとのこと。
アニマルウェルフェアの考え方に基づいて飼育され、輸送され、屠畜されることが望ましいのですが、生産性重視の飼育方法がとられている日本では、まだまだアニマルウェルフェアの実現には至っていないようです。
EUのように認証制度もないので、お店に並んでいる肉や卵がどのように作られたのかを知ることも難しい。
安さの背後に動物の不幸があるとしたら、そういうことを知らずに食べている私たちにとっても不幸なことかもしれません。
私たちの食べている卵や肉は、どのようにつくられているか?
を考えて購入するものを選ぶこともエシカル消費(倫理的消費)なのですね。
お店や生協の宅配で平飼いの卵を購入するようになりました。
10個入りで369円(税込み)。白卵の1.5倍くらいのお値段。味の違いはわからなかったけど、黄身が二つの卵が入っていたりしてなんとなく楽しい。いい物を食べているんだという満足感を味わっています。
なんとなく黄身が黄色っぽい。
『アニマルウェルフェアとは何か』によると採卵鶏の飼い方は四種類
「バタリーケージ」
B5サイズの止まり木や巣のない鳥かご(ケージ)で飼う
「エンリッチドケージ」
バタリーケージよりも広めの鳥かごで飼う
「平飼い」
屋内の地面に放し飼い。砂、止まり木、巣がある
「放牧」
屋内だけでなく屋外にも出て行ける。最も自然に近い環境
アキタフーズの元代表はケージ飼いに否定的な国際基準案の導入に反対していたとのこと。
日本ではほとんどの採卵鶏がバタリーケージで飼われている。
(『アニマルウェルフェアとは何か』P.7)
飼養方法が大きく変更されるので、国際基準の導入は大事件だということが理解できます。国際基準が導入されたら卵の価格の上昇は避けられないでしょう。生産性重視の飼養を続けるのか、卵の価格の上昇を招いても国際基準を導入するのか、それとも第三の道を探るのか、これから先の選択は消費者の私たちにも関わってくる話になりそうです。