映画『プリズン・サークル』
この映画は、官民共同の新しい刑務所「島根あさひ社会復帰促進センター」で行われている「TC(Therapeutic Community=回復共同体」というプログラムの様子を刑務所内にカメラが入って密着取材した記録です。
すごい映画でした。
観ているだけで、私もセラピーを受けているように、自分の罪を意識しました。
夫や父に対して、ツンツンしたこと
職場の同僚や上司の悪口を言ったこと
仕事に真剣に取り組んでいるフリをして、ただ自分の正当性を主張したかっただけだったこと などなど
自分がこれまでしてきた良くない行動が心の中に浮かび上がってきて、アチャーという感じになりました。
きっとそれは、映画に出てくる受刑者が、自分の辛い生い立ちや自分の犯した罪について素直に語る姿を目にしたからだと思う。
そういう語りの場を作って、自分自身と向き合えるように受刑者を導く支援者の人たちは素晴らしいなと思いました。
何を言われても受け止めて、評価せず、まとめず、自身の主張は出さずに的確な言葉を状況に合わせて発する態度がすごいなと思いました。
私も相談の仕事をしてるけど、そういう態度でいられない時が時々あって、相手と言い合ったり、怒られたりしてしまいます。支援員の人たちの受刑者に真摯に向き合う姿勢と冷静な態度は仕事をする上でのお手本になりました。
取材される受刑者の人たちは、今までの人生で一人の人間として尊重されることがなかった人たち。ひもじい思いをしたり、虐待されたり、いじめられたり、受刑者が語る過去は壮絶です。でも、プログラムを受けている間に一緒に教育を受けている受刑者を“仲間”と呼ぶようになり、自分も相手もお互いに尊重し合って心からの対話をしている姿は感動的でした。
対話って大事だ。
心にできた傷は、どんなに小さなものであっても反作用を生じさせます。
受刑者は犯罪という形で、私はちょっとした意地悪という形で世の中に放出される。
自分の心の中にある小さな傷をどうやって癒やしていくのか、どうやって傷ついた心を修復すればいいのか、自分のいる環境のなかでそれがどうやったらできるのか、考えさせられました。刑務所という特殊な環境ではなく、今の日本の社会の中でそれができるのかなぁ? 支援してくれる人がいなくても、自分でそういう環境をどうやって自分の周りに作っていくかが大きな課題です。
自分から心を開いて、相手と話をするしかないんですよね
人が感じる本当の癒やしは、誰かとわかり合えたと思えたときに生じるのかもしれません。いくつになっても、どんな場所でも誰かとわかり合えることはできるって思いたい。きっとそれが自分の小さな再生につながるかると思うから。