スーホの日記

これからの人生のために!

『世界からコーヒーがなくなるまえに』

デパートの地下にあるコーヒースタンドで『本日のコーヒー』を注文して飲んだら、すごく美味しかった。豊かな香りとまろやかな味わい。感動したので同じ豆を挽いてもらって買って帰りました。ブルーマウンテンブレンド

 

家に帰って自分でペーパードリップで淹れてみたけど、コーヒースタンドと同じ味わいにはなりませんでした。何が違うんだろう?

 

やっぱり、美味しいコーヒーは店で飲むのが一番! なのかもしれません。

 

近頃はサードウェーブのコーヒーブームがあって、いろいろなタイプのコーヒーのお店ができています。自家焙煎のお店が私の住んでいる地方都市にもいくつも出現していて、選択の幅が拡がっています。でも、味の違いや豆の違いや店の違いなど、なにがどうなのか消費者にはよくわからないのが現状。そんなコーヒーにまつわる頭の混乱を整理してくれたのがこの本です。

 

このまま地球温暖化が進んだら、世界のコーヒー豆の産地は打撃を受けて、コーヒーの生産量が著しく減少。コーヒーが気軽に飲める物ではなくなるかもしれない!? という問題意識のもとに書かれた啓発書でもあります。コーヒー豆の生産者が抱える様々な問題がこの本を読むと見えてきます。

 

スペシャリティコーヒー

オーガニックコーヒー

サスティナブルコーヒー

フェアトレードコーヒー

 

様々なタイトルのついたコーヒーが販売されているけど、それら全てをひっくるめてトータルクオリティを目指すブラジルの農園主の取り組みが紹介されています。

 

私たちの気持ちを豊かにしてくれるコーヒーは、飲んで美味しく、環境にも負荷をかけず、働いている人も幸せで、永続的に耕作できる農園で栽培してほしいって思います。手間はかかるけど、自然の力を借りて農薬を使わず、働く人にも環境にも優しいサスティナブルなコーヒー栽培は可能とのこと。今はまだ少数派のようだけど。

 

近代農法とは違い、サスティナブルなコーヒー農園では、熱帯雨林を伐採する事はない。反対だ。こうした農園ではさらに植樹を進めコーヒーの木が必要とする木陰を増やしていく。樹木の根は地中深くから表面へ向けて水分を吸い上げるので人工的に水やりをする必要性が殆どない。木々は鳥や昆虫へ巣作りの場を提供し、これが害虫駆除に役立つ。(P.54)

 

完熟したコーヒー豆だけを手作業で収穫してできたコーヒーは上等なので、そのことを理解している業者が高く買い取ってくれれば、十分商売としても成り立つそうです。

ただし、消費者が本当にいいコーヒーを見分ける手段が乏しいことが足かせになっているみたい。

 

「トレーサビリティがしっかりしていなければ、消費者にとってコーヒーの価値は下がっていくと思う」と彼は言う。「たとえば消費者に二種類のコーヒーを提供するとしよう。一方は八七点の、もう一方は八八点のものだ。普通の人に違いが分かると思うかい?でも一方がオーガニックで、もう一つはそうじゃない、となれば話は別だ。きっと消費者はその情報に重きを置くだろう」(P.170)

 

コーヒー業界では成長が見込める良いコーヒーの価値がわかるだけでなく、素晴らしい仕事をしている農場の、良いコーヒーの価値が分かる、という顧客の集団をまだしっかりつかみ切れていないようだ。(P.170)

 

コーヒースタンドでブルーマウンテンブレンドを買ったとき、ブルーマウンテンってなんでこんなに高いんでしょう?って聞いたら、美味しいからという理由だけではないって店員さんが言ってました。希少性。手に入りにくいからこそ値段が上がるんだって。コロナのために海外からのコーヒー豆の輸入が減少していて、そういうことも豆の価格に影響していて今はコーヒー豆の価格が高めだそうです。相場も絡んでくる複雑な世界。

 

消費者がコーヒーについていろいろなことを知って、販売されるコーヒー豆もトレーサビリティがしっかりして、栽培方法や収穫方法が消費者に伝わるようになれば、コーヒーの業界も変化するかもしれません。

 

消費者の役割は決して小さくないようです。

 

 

世界からコーヒーがなくなるまえに

世界からコーヒーがなくなるまえに