スーホの日記

これからの人生のために!

映画『わたしの叔父さん』

連休になにも用事がなくて、家に一人でいると孤独を感じます。

でも今はコロナ禍だから、それを理由に暇だということに胸を張れる。

けど、やっぱり寂しい。

 

そんな私の寂しさとは比べようのない寂しさがスクリーン全体に漂っていたのが『わたしの叔父さん』。

 

ヤングケアラーの27歳の女性クリスと病気で足が不自由な叔父さんとの日常を描いた作品。叔父さんは酪農家なので、一緒に暮らす二人は毎日牛の世話に追われ、朝早くから規則正しく勤勉な生活を続けています。

 

介護が必要な人が家にいて、牛の世話もあって、外でご飯を食べるのも、デートするのも自由にならない生活。息が詰まる生活のはずなのに、自ら進んで叔父さんのリハビリを手伝い、文句も言わず淡々と牛の世話をする若いクリスの姿に自分を重ねてしまう人も多いのではないかしら。孤独感を抱える私にとってはクリスの生き方は励ましになりました。

 

孤独だけど一人じゃない。不自由だけど自由だから。

 

本当の一人になって、本当の自由を得ることは、普通の人にとっては恐怖なのかもしれません。何にもなくなっちゃうから。なんにも縛られないとは、そういう恐怖を引き受けることかもしれません。世の中の人はそんな恐怖に向き合いたくないから、いろいろな予定をいれて忙しそうにしているのかも。

 

デンマークの映画だけど、酪農の大変さやヤングケアラーの孤立感は日本と同じに見えました。クリスの未来が決して明るくはないとわかるから、見ている私達は不安になります。この世の中にはクリスのような人たちに希望を与えたり、前向きに生きる手助けをしたりしてくれる存在が必要なんじゃないかな。

 

近所の人、ボーイフレンド、行政、テレビ、ラジオ、本、携帯電話。

映画に出てくる、いろいろな物や人や情報源の中に希望の到来を知らせるヒントが隠されているのかもしれません。そのヒントをキャッチできる人になるためには、やっぱり学びと挑戦が大事なんだと私は思います。

 

孤独というものを映像で形にして私たちに見せてくれるところがこの作品の素晴らしいところだと思いました。寂しい人には孤独が、忙しい人には穏やかな暮らしが見えてくる、不思議な映画です。