チェ・ウニョン『わたしに無害なひと』
7つの短編すべてに共通するのは孤独感。
主人公も主人公の周りの人もみんな孤独を抱えて生きている。
だけど、孤独を抱えて生きているだけじゃなくて、みんなそれぞれに自分の意思を強く持っていて、簡単に迎合はしない。
それが韓国の人の特質なんだろうか?
いじめや家庭内暴力や軍隊での苦労や友だちの自殺など、つらい出来事が物語の背景にあって、そういう描写に韓国の負の部分を感じながら、なぜ日本は表面的には明るくて、なんとなく穏やかなんだろう?って思いました。
日本にも負の部分はいっぱいあるけど、それらは家庭や学校や職場や個人の思いの中に隠れて存在していて、表面には楽しく明るい部分しか出てこない社会の構造になっているのかな。私があえて負の部分を見ないようにしているのかな。なんだかそのあたりに自分の意思の弱さを感じてしまう。
日本と韓国。似ているところと違うところ、いっぱいあるのでもうすこし詳しく知りたい。
巻末の訳者のあとがきで紹介されていた『完全版 韓国・フェミニズム・日本』も読まねばなりません。