橋本努『消費ミニマリズムの倫理と脱資本主義の精神』
巻末に参考文献がたくさん掲載されている学術書的な本ですが、ミニマリストの方々や、ていねいな暮らしをしているブロガーさんがたくさん紹介されていて、ミニマリズムという視点から今の消費ムーブメントが整理され、かつ論じられているという面白い本でした。
どう生きるか、どう生活するか、私達の個々の取り組みが実は資本主義と大きく関わっていること、古くは禅の思想にミニマリズムの源流があるんだよ~なんてことが書かれていて興味深い内容でした。
経済学とか資本主義のことはよくわかりませんが、節約して貯めたお金をどう使うかによって「資本の支配」を許す方向か、「資本の支配」をもたらさない方向か、どちらかに分かれていくんだよ~という結論部分に驚きを感じました。
脱資本主義の精神は、ウェーバーのいう資本主義の精神に対して、両義的な態度をとるように思われる。脱資本主義の精神も、ミニマリズムの生活を理想とする点では、実践の次元で両立する。しかし「脱」資本主義の精神は、稼いだお金が資本家の支配力を高めないように、たんに銀行に預けるのではなく、弱者の救済のために活用するとか、子や孫世代の人々の人的資本形成のために活用するなど、何らかの考えを示すであろう。これに対して資本主義の精神は、自らの資本形成に資するような仕方で貯蓄するであろう。(『消費ミニマリズムの倫理と脱資本主義の精神』P.327)
節約してもしなくても、大事なのは使い方なのですね。
勉強になりました。
将来への不安から貯めることばかり考えていたけど、貯めるだけでは何かが欠けてしまう。どう貯めるか、どう使うかということも大切だし、貯めたお金がどう使われるかという視点を持つことも大切なのかもしれないですね。
参考文献には面白そうな本が列挙してあるので、これから少しずつ読んでみるつもり。
橋本努さんの他の本も面白そうです!