スーホの日記

これからの人生のために!

映画 『わたしは、ダニエル・ブレイク』

2017年3月20日のブログにイギリス人はためらいなく生活保護を申請すると井形慶子さんの『なぜイギリス人は貯蓄500万円で幸せに暮らせるのか?』 に書かれていたと紹介しました。 そのイギリスとは違うイギリスの姿が描かれている映画でした。 両方とも本当なんだと思う。表と裏。 心臓の病で一時的に働けなくなった59歳の大工ダニエル・ブレイク。国の援助を受けようとしますが、複雑な制度の壁に阻まれ、給付を打ち切られてしまいます。役所の申請窓口で、二人の子どもを抱え仕事を探し、食べるものにも事欠きながら、懸命に生きようとする若い母親ケイティと出会い、助け合いながら絆を深めていくストーリー。 セーフティネットはきちんとある。申請が通れば給付も受けられる。だけど、政府や行政の求める失業者像と合致しなければ給付対象とはならず、給付が受けられない。給付を受けるためには、自分を偽り、見せかけの姿を行政に見せなければならない。その矛盾に耐えられないブレイクは、どんどん追い詰められていく。 自分に正直に、善く生きようとする人を苦しめる制度は井形さんの言っていたイギリスの様子とは異なっていた。 イギリスだから、大英帝国時代の蓄積があるから、余裕があるという訳ではなかったことがわかった。 どこの国も一緒かもしれない。貧困の問題は、身近にあるし、自分も全く無縁ではないということだ。 だけれども、人と人が助け合い、つながることでどんな状況でも人間らしく生きることができる。その可能性をこの映画は示してくれた。同時にその道はとてつもなく険しいことも伝わってきて、見終わって頭を抱えてしまう、そんな映画でした。エンドロールになってもすぐに席を立つ人がほとんどいなかったことからも、映画を見た人に何かを確実に伝えた映画だったことがわかります。